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Column

やすゆうくんの音楽ルーツ vol.16 アイリッシュミュージック4

vol.16 アイリッシュミュージック4(2016.1.21)

港街に生まれた少年にとって船で異国に渡るというのは浪漫に満ちた憧れであった。
子供の頃長崎の波止場は独り遊びで土日になると決まって出掛けていったものだ。魚釣りをしたり食料倉庫のあった貨物引込み線の近くで雀を捕まえたり外国船が来た日には日暮れまで飽きもせず眺めているだけで幸せな気分になれた。
 
ダブリンから英国に戻る際船でアイリッシュ海を渡ると決めていた。
四日目の朝午前5時タクシーに乗り込み霧の中ダブリンポートへと向かった。6時出航のBirkenhead(リバプール)行きのNorfolk Lineのフェリーに乗船した。港の防波堤に大きな看板がありジェイムス ジョイスの言葉が掲げられていた。When I die Dublin will be written in my heart.その下に小さな文字でジョイスは妻ノラと共にこの港から船出しましたと書いてある。陰鬱で侘しいたたずまいのダブリンからジョイス、バーナードショウ、イエイツ、サミュエル ベケット等偉大な文学者を生み出したダブリン、彼らはこの街を離れても生涯この街を愛し続けたのはそこに貧しくても愛すべき暖かいハートを持つアイルランドの住民達がいるからではないだろうか。ホテルのお姉さん、ボイラーを深夜にもかかわらず2時間かけて修理に一生懸命だったボイラーマンのお兄さん、アイリッシュ料理はお気に召したかと気遣ってくれたウェイター みんな親切だった。この国に幸あれと願いながら冷たい波飛沫を受けながらフェリーはアイリッシュ海を越えてイギリスへ向かって行きました。
 
1991年BBCで9回シリーズのアイリッシュミュージックのドキュメンタリーが作られました。Bringing it all back homeというディランの5作目のアルバムタイトルと同じ名前が付けられCDも発売されました。タイトルの意味はルーツに戻ろうということでポップスの原点にはアイリッシュミュージックが貢献していることを再確認しようということらしい。アイリッシュのアーティストは勿論アメリカのアーティストをも含む豪華な内容です。その中からThe Every BrothersのRose Connollyそしてコメント欄にHothouse FlowersのThe Lakes of Ponchartrainの2曲をアップロードします。エバリーを聴くと胸がきゅんとなります。後者はPaul Bradyで有名ですがLiam O Maunlaiのヴォーカルで。アイルランド人でニューオリンズに移民した作者不明の曲で書かれたのはCivil Warの時代の1870年頃の歌です。
もしアイリッシュミュージックをもっと知りたいと思われたかたがいらっしゃいましたらChieftainsがお薦めです。